なぜ風俗嬢にとってインボイス制度は関係があるの?
まず、今回のインボイス制度というのは、主に「個人事業主」が対象となる制度です。
しかし、案外風俗嬢のほとんどは、自分が個人事業主かどうかすら知らないままでいるのではないでしょうか。
ほとんどの風俗店では、風俗嬢とお店はいわゆる「正社員」としての契約ではありません。
風俗嬢は「個人事業主」としてお店から「報酬」が支払われているという形になっています。
しかしこれまで、個人事業主の中でも年商1000万円(風俗嬢の場合はほとんどがイコール年収となりますが)を超えなければ、消費税の「免税業者」として扱われて、消費税を納税する必要がありませんでした。
この免税業者にも消費税を支払わせようというのが、今回のインボイス制度の目的です。
一応その理由というのは、年商が1000万円以上の会社や個人事業主が消費税の支払い義務があるのに、1000万円を超えない免税事業者の支払いが免除されているというのが不公平ですから、支払わせることで公平にしようということになっています。
インボイス制度になったら納税しなければならないの?
さてそうなると、個人事業主となる風俗嬢も、会社のように消費税を支払わなければならなくなるのかと、心配になるかもしれません。
結論から言えば、これは「ケースバイケース」ということになります。
というのも、取引先、つまり風俗嬢にとっては自分が勤めているお店になりますが、お店の方針によってインボイスを登録しなければ在籍できないという方針をとるかとらないかによって決まってくるからです。
カンタンに言えば、風俗嬢がもしインボイスを登録しなければ、その分の消費税の納税をお店側が負担しなければなりません。
そうなれば当然ですが、お店側の利益が納税した分だけ減ってしまいます。
その逆に、風俗嬢がインボイスに登録(インボイス発行事業者と言います)した場合は、風俗嬢が自分の売り上げ=給料の中から、消費税分を納税しなければなりません。その場合、お店の納税額は今まで通りで、利益は減りません。
インボイスに登録しろと言われる可能性も
このように、インボイス制度は個人事業主として仕事をしている風俗嬢にとって、大きく関係する問題です。
基本的には、お店から「インボイス事業者に登録しろ」と指示がなければ、自分から登録する必要はありません。
ただし、お店側が風俗嬢の消費税納税分を負担して、利益を減らしたくないと考えている場合は、登録しろという話になるかもしれません。
実際、一般の個人事業主で仕事をもらっている立場の人が、インボイス登録の圧力を受けていることが社会問題にもなっています。
ただし、インボイス登録は強制ではなく、個人に選択権があります。
1月1日~12月31日までの収入(年収)が1000万以内なら、迷うことなくインボイス登録はしないほうがよいでしょう。
仮に年間の収入が1000万以上で、すでに確定申告をしている場合でも、今後必ず1000万以上の収入があることが確実で、引き続き毎年必ず確定申告をする場合を除いては、インボイスの登録は見送った方がよいでしょう。
いずれにしても、早まってインボイス登録をしてしまうと、毎年確定申告をしなければならず、思わぬ負担増となってしまいます。
登録を考えている場合でも、メリット・デメリットをよく調べるか、専門の税理士などへ相談することをおすすめします。